「非常に主観的ラケット講座」”長さ”編その2

2006/11/28 火曜日

高草です。
前回は、長ラケのメリット・デメリットについて触れてきましたが、身体が大きく(当然リーチがある)、反射能力にも優れ、もちろん肉体的にも鍛え抜かれたトップアスリートなら、通常の長さのラケットの方が、ラケット・コントロールの容易さという面からすれば当然の選択かもしれません。

しかし私はそれらのメリット・デメリットを把握した上で、それでも3つの理由から「長ラケ」の使用を・・・・いやもっと正確に言うなら「試用」をお勧めします。

■ひとつはテニスをプレーする大多数の人は、トップアスリートの身体能力を持ち合わせていないという事実からです。

テニスにおいて「守備範囲」(コートカバーリング)はとても重要なファクターですが、トップアスリートのとっさの守備範囲とウィークエンドプレーヤーのそれには格段の開きがあります。

身長が低ければ、当然リーチがなくなります。
また、動きたくても動けない人は大勢います。
 →反射能力が劣ることによってもリーチはなくなります。
 →筋力の少なさによってもリーチはなくなります。

身長の低いプレーヤー、年配で動きにくくなったプレーヤー、筋力・反射能力が不足している女性のプレーヤー・・・・・こういった、飛んでくるボールにラケットを届かせたくても届かせられない人達にとって、「長ラケ」は当然その問題を解消する強力な手段となりえます。

「動けなくても届く!」
・・・ということです。

特に「瞬発的コートカバーリング」(とっさの守備)において「長ラケ」の威力は発揮されます。

※私はコートカバーリングにも2種類あると考えています。

ひとつは「時間をかけて」動き回ることによってコートをカバーする「連続的コートカバーリング」、そしてもうひとつは「ほんの一瞬の間に」飛びついたり、身体とラケットを目いっぱいに伸ばしたりする事でコートをカバーする「瞬発的コートカバーリング」です。

「瞬発的コートカバーリング」は、特にネットプレーにおいて要求されますが、ほかにもリターンの時や、相手のスピードのあるボレー攻撃にグラウンドストロークで対抗する場合などに要求されます。

もし2インチロングのラケットを使ったらどうでしょう? 1インチは2.54㎝ですから2インチだと5.08センチ長い事になります。その結果左右両方向を合わせると10.16センチ、リーチが増えるわけです。
この数字をどう見られますか?決して無視できない大きな数字です。
そのことは実際にプレーの中で、わずかにボールに届かなかったために悔しい思いをした方ならおわかりのはずです。

■もうひとつは、リーチの問題と重複するようですが、「長ラケ」は特にサーブにおいてとても有利に働くからです。

試合においてサーブの威力はそのまま勝敗を左右しますが、もし打点を5センチ高く出来たら、より強打しても確率が高くなるのと同時に、より角度もつけられて相手をワイドに振る事ができます。

■3番目の理由は、試合を戦う上で、個性は強力な武器になるからです。

試合での「個性」については、「非常に主観的技術講座」の方でまた触れていきたいと思いますが、簡単に言うと「普段お目にかかれないようなフォームやショットや戦術を持つプレーヤーはその事だけで優位に立てる」ということで、「サウスポー(左利き)」のプレーヤーが有利と言われるのもそのためです。

そして、他の人に較べて「意外にリーチがある」ということは、同様に大きな個性であり、武器になります。

試合の一場面を想像してみましょう・・・・・
長ラケを使っているあなたはネットについています。
対戦相手が会心のパッシングショット(ネットプレーヤーの横を抜き去るショット)を打ってきました。
[相手]・・・「よっしゃー! 抜いた!」
あなたは手をいっぱいに伸ばしてそれに届き、オープンコートにエースを決めます。
[相手]・・・「え、え゛ーー 届いた?! んなあほなーー!」
相手はそれでもたまたまだろうと考えて気を取り直してプレーを続けます。
また相手がパスを打ってきました。今度も素晴しいショットです。
[相手]・・・「やった! 今度は抜いたで!」
あなたはまたもそれに届き、オープンコートに決めます。
[相手]・・・「え、え゛ーー またーー? あれでも届くん? 普通抜けるやろ!」
相手はパスが抜けないとわかって自信喪失。あとは一気に崩れて一方的な試合になりました。
相手選手談・・・・・
「いやー、あんたすごいリーチあるんやね!なんや腕がぱーっと伸びて出てくる感じやったね。ほんと抜くとこあれへんやん。」

実は、これは実際に私が若い頃に言われていた事なんです。(今は瞬発力がなくなって昔のリーチはなくなりましたが。)
私はネットでのリーチに自信がありました。ネットでの「瞬発的コートカバーリング」に関して技術を磨くと同時に、2インチロングのラケットを使うことでネットでのリーチの広さを強力な武器として試合を展開していたんです。

今回はこの辺で・・・・ (次回は”長さ”編その3です。)

[ 高草 ]

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